公共仕様の“赤白バンパー”を高精度で量産対応しました。

今回ご紹介するのは、道路公団向けハイエース5台のカスタム塗装案件
最大の見どころは、もともと黒い樹脂バンパーだったパーツを、鮮烈な赤白ストライプデザインへ仕上げた特注仕様


それを5台同時に施工するというハードなオーダー。

当社の塗装ブースとチーム体制をフル稼働させて、全台を高品質で仕上げました。
以下、現場のリアルな工程をご紹介します。

素材は黒樹脂バンパー|ここからすべてが始まる

ベースは塗装なしの黒い樹脂バンパー
塗料の密着が非常に難しいため、まずは徹底的に脱脂・足付け・密着処理からスタート。


ここで手を抜くと、完成後の塗膜トラブルの原因に。すべての塗装品質は、ここで決まります。

白を乗せる“難しさ”と、職人の技術力

下地処理が完了したら、サフェーサーで表面を均し、ベースホワイトを丁寧に吹き付けていきます

ここでポイントになるのが「もともとの素地が黒い樹脂である」ということ。

黒の上に白を塗る、これは、簡単に見えて非常に難しい

隠ぺい力の弱い白は、黒をしっかり殺さないと透けてグレーがかってしまい
その上から赤を重ねても、くすんでしまって本来の発色が出ません。

そのため

  • 均一な膜厚
  • 明度のブレがないサフェーサー層
  • 2〜3回に分けてじっくり仕上げるホワイト吹き
    といった細やかな工程を重ねて、ようやく“純白のキャンバス”が完成するのです。

単なる白じゃない。**赤ストライプが鮮烈に映える“計算された白”**です。


ストライプは描くものではなく、“設計する”もの

赤白のしま模様は、もちろんすべて手作業によるマスキングで再現していきます。

単なる直線を貼ればいい──そんな単純な話ではありません。
対象は、凹凸と曲線の複雑に交わるバンパー
そこへ均一な角度・幅・リズムでストライプを走らせるには、図面ではなく“目”と“空間感覚”で描く力が必要になります。

現場では、まず“1本目”の角度を決めるところから始まります。
それを基準に、何度も離れて確認し、微調整を繰り返す

  • 「ラインが前に向かって走って見えるか」
  • 「どの角度から見ても歪んで見えないか」
  • 「左右でズレはないか」

作業者同士の声かけは少なくても、“感覚の共有”だけで意思が通じている。
これこそ、長年積み重ねた職人技。

仕上がったマスキングを見た瞬間、
「これはきっと、道路の上で映えるぞ」、そんな確信が、チームの中に広がっていました。

このように、“ラインを貼る”のではなく“設計する”という視点で描くストライプ作業は、まさに現場でしか語れないリアル。

一発勝負の“赤”を決めろ。

マスキング剥がしは、現場に緊張が走る瞬間

マスキングが完了したら、いよいよ赤ラインの吹き付け工程へ。
使用するのは、鮮やかさと耐候性を兼ね備えた専用レッド
隠ぺい力が高く、下の白をくっきり浮かび上がらせるこの塗料は、**発色が良い分、ムラやタレが一発で目立つ“正直な色”**です。

だからこそ
吹きの強さ、距離、角度、回数。どれも“機械のように”揃える。

そして、もっとも緊張する“剥がし”の瞬間赤を吹き終わったら、塗料が乾ききる前にマスキングを剥がす
ここが最大の山場。

  • 少しでも乾きすぎると、ラインのフチが裂ける
  • 早すぎると、塗料が引っ張られてラインがヨレる

作業者はまるで外科手術のような手つきで、一定の角度とテンポでテープをはがしていく

テープを1本はがすたびに現れる、赤白のシャープなストライプ
それはまさに、緻密に計算された構成美

「これは決まったな」
そう心でつぶやいても、手元の集中は一瞬も緩めない。

ボディももちろん! 養生は塗装品質の要

塗装の美しさは、養生で決まる。
そう言っても過言ではありません。

ガラスやモール、エンブレム、灯火類はもちろん、見えにくいボルトやクリップ1本に至るまで、すべてを丁寧にマスキング。
わずか0.5mmのはみ出しも許さないため、テープの貼り出し角やテンションは職人同士で統一します。

作業場には、マスキングテープを引き出すシャッという音だけが響く。
テープを張った瞬間の直線が、完成時の輪郭そのものになるから、手元の精度に一切の妥協はありません。

さらに、曲面や凹凸部分ではテープが浮かないよう、指先で押さえ込みながら絶妙なテンションを保つ。
この段階での精度が甘ければ、後のイエロー塗装で全てが台無しになる。
だからこそ、養生は“塗らない部分を守る”作業ではなく、“塗る部分を最高に映えさせる”ための仕込みなのです。

ボディは鮮烈なイエローへ!

養生を終えたボディは、いよいよ“主役の色”を纏う瞬間を迎えます。
今回選んだのは、道路公団車両らしい鮮やかなイエロー。
高い視認性と耐候性を両立させるため、特注の高発色塗料を採用しました。

ただ黄色は、塗装の中でもとりわけ難しい色。
隠ぺい力が弱く、わずかなムラや透けでも仕上がりの印象が大きく崩れてしまいます。


そこで、下地は純白まで作り込み、2〜3回に分けて慎重に重ね塗り。
吹き付ける距離、角度、ガンの動きはすべて機械のように正確に揃え、均一な膜厚を保ちます。

塗装ブースの中は、まるで舞台の暗転前のような張り詰めた空気。
スプレーガンから放たれた黄色が、静かに、しかし確実に車体を染めていく。
光を受けた瞬間に浮かび上がるその色は、赤白ストライプとのコントラストを計算し尽くした、まさに“狙った黄色”です。

塗り終わった後、ブースのライトに照らされたその姿は、
ただの業務車両ではなく、走るシンボルそのものでした。

“はめる”だけじゃ終わらない。

車体との色合わせは、現場の“目”がすべて
塗装を終えた赤白ストライプのバンパーは、いよいよ本体へ。


とはいえ、これはただの「組み付け作業」ではありません、本体側には、黄色を基調に白いラインをあしらった配色
バンパーとは別ラインで塗装したにも関わらず、境界線を合わせて“ひとつの意匠”として見せる必要があります。


角度、距離、反射、立ち位置
あらゆる視点から「ズレて見えないか」を繰り返し確認

「上から見ると0.5度、赤ラインが傾いてる」
「ボディとの白ライン、あと2mm下げようか」
「取り付け角は合ってるけど、見た目に揃わない」

こうした声が自然に現場で飛び交い、仕上げの追い込みに入っていきます

正確な“色合わせ”は、マニュアルには載っていない。
信頼できるのは、“職人の目”だけだ。だけでなく、色の重なり方、反射の統一感まで考慮して取り付けを行います。

公共車両・業務車両の塗装で「他とは違う」「高い再現性が必要」と感じたら、まずは一度ご相談ください。

“見た目以上の、意味がある塗装”それが、私たちの仕事です。

こうした現場で、一緒に挑戦しませんか?

単純作業のようでいて、細部にこだわりぬいた塗装の世界。
決して派手ではない! でも、やり切ったときの“誇り”は何にも代えがたい

未経験でも、「こういう現場で腕を磨きたい」と思ったあなた。
ぜひ一度、私たちの仕事を見に来てください。

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