ESGという言葉が広がるにつれ、「何をやっているか」が語られる場面は増えました。
一方で、「何をやっていないか」について語られることは、ほとんどありません。
私たちは、ESGにおいて「やらないことを決める」という判断を、とても重要だと考えています。
特に中小企業にとっては、なおさらです。
この記事では、なぜ私たちがあえてESGに線を引いているのか。
なぜ「全部やらない」ことが、結果的にESGを強くすると考えているのか。
その理由を整理します。
中小企業にとって「全部やるESG」は成立しない
まず、前提をはっきりさせておきます。
中小企業が、大企業と同じESGをやることはできません。
これは意識や努力の問題ではなく、構造の問題です。
- 人が足りない
- 時間が足りない
- 専門部署がない
- 専任担当を置けない
この状態で「網羅的なESG」を目指せば、必ず現場が疲弊します。
それでも無理にやろうとすれば、ESGはこうなります。
- 資料だけ立派
- 実態は伴わない
- 現場は形だけ対応
これはESGではありません、形だけ残った業務負担です。
「やるESG」より先に「やらないESG」を決める
私たちは、ESGの話をするとき、
「何をやるか」より先に、こう考えます。
何をやらないか。
・今の事業に直接つながらないもの
・現場の負担が増えるだけのもの
・判断を複雑にするだけの制度
これらは、最初からやりません。
中小企業にとって重要なのは、
限られたリソースを、どこに集中させるかです。
やらないことを決めることで、
やるべきことが、はっきりします。
「立派に見えるESG」は、あえて選ばない
ESGには、「立派に見える取り組み」が数多くあります。
- 分厚い方針書
- 複雑な評価指標
- 外向けの分かりやすいストーリー
しかし、私たちはこう考えます。
それ、本当に現場で使われるか?
立派に見えるESGほど
- 説明が必要
- 管理が必要
- 更新が必要
結果、続きません。
中小企業がやるべきESGは、
外から見て分かりやすいものではなく、
内側で効いているものです。
あえて線を引いている具体的な考え方
私たちがESGにおいて線を引くとき、
判断基準にしているのは次のような点です。
- 本業と直接結びついているか
- 日常業務の中で自然に回るか
- 特別な説明がなくても理解できるか
- 担当者が変わっても続くか
この条件を満たさないものは、
ESGとしては扱いません。
やらない理由はシンプルです。
続かないから。
「全部やらない」は、逃げではない
「やらないESG」と言うと、
逃げているように見えるかもしれません。
しかし実際には、その逆です。
全部やると言うほうが、
よほど無責任です。
- 結局、誰も責任を取らない
- 形だけの対応になる
- 現場にツケを回す
やらないことを決めるというのは、
責任の範囲を明確にすることでもあります。
中小企業のESGは「深さ」で勝負する
私たちは、ESGの「幅」を広げません。
その代わり、「深さ」を取ります。
- 一つの判断基準を徹底する
- 同じ考え方を繰り返し使う
- 現場で迷わなくていい状態を作る
これができれば、
項目が少なくても、ESGは機能します。
ESGは、数を集めるものではありません。
判断の精度を上げるためのものです。
「やらないESG」が、結果的に信頼をつくる
不思議なことですが、
私たちは「やらないESG」を明確にするほど、
説明がしやすくなりました。
- なぜそれはやらないのか
- 代わりに、何を重視しているのか
これをはっきり言えるからです。
全部やっていると言うより、
やっていないことを説明できるほうが、
よほど信頼されます。
ESGは「選択の履歴」でできている
ESGは、宣言ではありません。
選択の積み重ねです。
- やると決めた選択
- やらないと決めた選択
この履歴が、その会社のESGになります。
私たちは、
中小企業としての現実を踏まえたうえで、
引くべき線を引き、
集中すべきところに集中する。
それが、私たちのESGです。
「やらない」と言えるESGは、強い
全部やろうとしない。
立派に見せようとしない。
続かないものは入れない。
私たちは、
「やらないESG」を決めることで、
ESGを現実の判断軸にしています。
中小企業にとって必要なのは、
背伸びしたESGではなく、腹を括ったESGです。
それが、長く続き、
現場に根付き、
結果として信頼につながる。
私たちは、そう考えています。
